教育に関する科目って何?(看護専門学校の専任教員の要件について)
日本で唯一の看護教員専門キャリア・コンサルタントの森田です。
本日は看護専門学校の専任教員の教員要件のうちのひとつ。
「教育に関する科目」についてです。
教育に関する科目についてはよくわからない
実は看護教員を目指している方でもこの「教育に関する科目についていまいちよくわからない」という方はかなり多いです。
ここで再度おさらいです。
指導要領には、以下のように規定してあります。
看護師養成所の専任教員となることのできる者は、次のいずれにも該当する者であること。ただし、保健師、助産師又は看護師として指定規則別表3の専門分野の教育内容(以下「専門領域」という。)のうちの一つの業務に3年以上従事した者で、大学において教育に関する科目を履修して卒業したもの又は大学院において教育に関する科目を履修したものは、これにかかわらず専任教員となることができること。
「看護師等養成所の運営に関する指導要領」より引用
今回は「大学において教育に関する科目を履修して卒業したもの」について解説します。
まず、大前提として「指定規則別表3の専門分野の教育内容(以下「専門領域」という。)のうちの一つの業務に3年以上従事した者」を理解しておかなければなりません。
⇒ここでいう専門領域とは、成人、老年、小児、母性、精神、在宅といった領域のことです。
成人、老年、小児、母性、精神の領域とは一般的な病棟での経験と思ってください。
在宅は訪問看護ステーションでの経験が望ましいです。(管理者経験者なら尚良)
外来や手術室などの経験の場合、学校によっては敬遠されることがあります。
それは学生の臨地実習は主に病棟で行われるので病棟での勤務経験がないと指導するのが難しいと判断されてしまうためです。
要は一般的な病棟や訪問看護ステーションなどで3年以上の臨床経験を積んでいる必要があるということです。
大学において教育に関する科目を履修して卒業したものとは?
では、本題です、「大学において教育に関する科目を履修して卒業したもの」とはどのようなことでしょうか?
⇒この教育に関する科目とは、看護六法の中の「看護師等養成所の運営に関する手引き」にもう少し詳しい説明が記載されています。
(1) 指導要領第4-1-(1)、(2)、(3)及び(4)の教育に関する科目とは、教育の本質・目標、心身の発達と学習の過程、教育の方法・技術及び教科教育法に関する科目のうちから、合計 4 単位以上をいうこと。
「看護師等養成所の運営に関する手引き」より引用
なるほど!そういうことか。良くわかりました!
って人がいたらこの続きは読む必要はありません。
でも、これをみてもよくわからない方、安心してください。
みんなそうです(笑)
では、この「教育に関する科目」を最もわかりやすく言いいます!
履修した科目名に『教育』と名のつくような名前の科目ならほぼ大丈夫ということです。
例えば「教育学概論」や「教育方法論」、「教育心理学」、といった科目です。
また、カウンセリング系の科目でも、心身の発達に関する内容だとOKだったりします。
ただし、ゼッタイに大丈夫ということではないのでお気をつけください。
教員要件って誰が確認するの?
そもそもこの教員要件を満たしているかどうかは誰が確認するのでしょうか?
それは採用する看護学校ではありません。
その看護学校を管轄している都道府県です。
よってたとえ看護学校が専任教員として採用しても専任教員としては認めてもらえないこともあります。その場合は専任教員ではなく、講師や助手といった立場で教育に携わることになります。
ただし雇用契約上は正社員(正職員)として採用される場合もあります。
よって履修した科目がビミョーな場合は、都道府県に対し、事前に照会をかけて専任教員の要件を満たしているかどうかの確認をとるのが一番です。
もし専任教員の要件を満たしていない者が授業(講義)を行った場合、その授業は正当な授業として認められず、授業のやり直しや、最悪の場合は国家試験を受験することができなくなったりします。
とは言え教員要件については、採用する看護学校側でしっかりと確認を行うべきことなのであなた自身がそこまで心配することではありません。
大学で履修する場合は卒業しないとダメです!
最後にこれも以外と知らない方も多いのですが、教育に関する科目を履修しただけではダメです。必ず『卒業』する必要があります。(大学院は除く)
よく科目履修生として4単位以上とるつもり、という方がいるのですがこれでは卒業したことにならないのでダメです。
また、既に他の大学を卒業しているので、大卒の資格はあるので、科目履修で4単位履修すればいい、と考える方もいますがこれもダメです。
大学での履修と卒業はセットでなければなりません。
要は、卒業する(した)大学の在学中に教育に関する科目を履修しなければならない、ということです。
コメント
はじめまして。
《単位と卒業はセットで》についでですが、通信などの大学で編入学して、そこで教育の科目を履修し、2〜3年で卒業というのは、要件をクリアできるのでしょうか?
ナースマン4年目さま
お問い合わせありがとうございます。
はい、通信制の大学に編入学しその大学に在籍中に教育に関する科目を履修し、その通信制大学を卒業すれば要件をクリアしたことになります。
はじめまして。
ただ今通信制大学で看護学士を取得中です。
こちらは人間科学部ですが、同じ大学の教育学部で4単位取得中なのですが、人間科学部、看護学科を卒業しても同じ大学なので卒業大学とみなされ教育学4単位で大丈夫でしょうか?
なっちゃんさま
お問い合わせありがとうございます。
今は人間科学部に在籍しているけど、同じ大学の教育学部で4単位を取得中とのことですが、これは今の学部(人間科学部)での履修する際に教育学部の科目も履修登録したのでしょうか?
それとも今の学部(人間科学部)に入学する前に、例えば科目履修等で4単位を取得したのでしょうか?
今の人間科学部を卒業した場合の成績書に記載されますでしょうか?(人間科学部の卒業に必要な単位数の中に教育学部の4単位は含まれていますか?)
少々わかりにく説明になってしまいましたが、人間科学部の卒業に必要な単位数に含まれている科目であれば認めらると思いますが詳細はもう少し詳しくお伺いしませんと明確にお答えするのは難しいと思います。
よろしくお願いいたします。
こんにちは。はじめまして。
これから大学院で教育に関する単位を科目履修しようと考えている者です。
質問があるのですが教育に関する科目に関して、「看護学校を管轄している都道府県に確認した方が良い。」とありますが、都道府県にどのように確認するのがベストなのでしょうか?
せっかく頑張って科目履修してもいざ就活しようとしたら管轄の都道府県で認められていない科目だったら意味がないと不安になりコメントいたしました。
ご回答が遅くなり申し訳ありませんでした。
これに関しては通常は看護学校を通じて確認していただくのが一般的です。
個人の方からの問い合わせについては担当部署の方によってはご回答いただけないケースもございます。
(担当者の立場としては特に学校に所属していない方の質問については不確定要素もあるためです)
とは言えよくあるのは都道府県の「医療人材課」というところが担当しています。
都道府県によっては名称が違うかもしれないのでもし問い合わせをする場合はご自分で良く調べてお問い合わせください。
はじめまして
私は看護教員養成講習会を受講し、2年間
3年課程の看護学校教員をしていました。
現在臨床で看護師をしていますが再び看護教員の復帰を考えています。その時、看護大学では教員資格は得られないのでしょうか?
学歴としては3年課程の専修学校卒です。
お問い合わせありがとうございます。
> 看護大学では教員資格は得られないのでしょうか?
とありますが、看護大学で看護教員になる、ということでしょうか?
もしそれであれば難しいと思います。
看護教員養成講習会は看護専門学校の専任教員を養成するための機関なので養成講習会の修了は大学の教員要件を満たしません。
大学の教員は研究職になるので基本的には学位(修士or博士)と研究実績がないと採用されることはありません。
また、看護専門学校での教育経験は残念ながら教育経験としてカウントされません。
一般の大学を卒業しました。
(通信、3年次編入)
大学では教育に関する科目がなかったので、放送大学大学院の修士履修生に出願しようと思っています。
科目で「成人の発達と学習、2単位」と「学校臨床心理学、2単位」は教員要件となりますか?
「カリキュラム編成論、2単位」「教育文化の社会学、2単位」も考えていますが、この中ではどの科目が無難に教員要件の教育に関する科目に該当しますか?
よろしくお願いします。
お問い合わせありがとうございました。
教員要件につきましては各都道府県にて最終的に教員要件を満たしているか?を確認するため絶対にこの科目を取っておけば大丈夫という確約はできませんが、過去の経験から「カリキュラム編成論 2単位」「教育心理学特論 2単位」が私の知る限りでは認められたケースがございます。個人的には成人の発達と学習についても大丈夫ではないかと思いますが絶対とは言い切れません。尚、学校臨床心理学については恐らく認められないのではないかと思います。心理学系の科目については教育心理学のみが認められているという認識を持っています。よろしくお願いいたします。
返信、ありがとうございます。
大学では教育学を学ばず卒業したので、大学院で科目履修生として4単位認定を受けるという考えで良いですよね?
いずれは教員養成研修に行きたいと思っていますが、諸事情により2~3年は研修に行けないので、先に大学院で4単位履修して教員要件は満たそうと考えています。
履修した科目が教員要件に当てはまればいいと思いますが…。
「カリキュラム編成論2単位」と「教育心理学特論2単位」を後期履修したいと思います。
ちなみに「教育文化の社会学 2単位」はいかがですか?
お忙しいと思いますが、よろしくお願いします。
先ほどのメールの追加として。
ネットで教員要件を調べていると「大学で教育に関する科目を4単位以上履修して卒業したもの」とありますが、「または大学院で教育に関する科目を4単位以上」という文言が書いていないものもありますので、大学院での履修は教員要件に該当しなくなったのではないかと不安になりました。
そのあたりも、変更の有無を教えていただければと思います。
お返事遅くなりました。
まず、「教育文化の社会学」につきましては放送大学のホームページにて内容を確認いたしましたが私では判断がつかない内容です。
理由としては
1)この科目を認められたという実績を聞いたことがない。
2)最終的には都道府県の担当部署が判断するので実績がない以上OKともNGとも言えない。
ということからです。
また、大学院での科目履修について記載がないということですが、どこにそのような表現があるのかわかりませんが該当しています。
もし不安であれば看護六法の「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについて」に記載してある「専任教員に関する事項」をご確認頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。
何回も質問させていただきすみません。
神奈川県の看護学校教員募集では、大学院の文言が抜けています。
他、調べているとやはり大学院で教育に関する科目4単位履修とは書いてなく、大学で4単位履修しての卒業と記してあったので、変更があったのかと思ってしまいました。
本当にお忙しいところ
質問に答えていただきありがとうございました。
まずは、大学院で学んでいこうと思います。
すみません、念のため1点補足をさせていただきます。
教員要件そのものについては以前からお伝えしている通り、教育の4単位については大学であれば卒業、大学院であれば履修ということが国が定めている要件となります。
ですが、現実的なお話として学校によっては教育の4単位では採用を見送るというところもあります。
要は教員要件は持っているのに採用されないということがあります。
これはどういうことかと言うと、学校の採用方針として専任教員養成講習会を受講した人しか採用しない、という方針を取っている学校があるということです。
(実のところは副校長や教務主任の教育観によるところが大きく、教育の4単位では看護教員に必要な学びを得ていない、と考えているからです)
国が認めているのにどうして?と納得がいかないと思いますがそういう学校もあるのでご注意ください。
ありがとうございます。
私は今、看護学校の教員として働いています。
教員養成講習は来年度は行けません。
そのため、大学院で……と思ってます。
2年後に研修へいこうと思っていますが、それまでの間に教員要件を満たせていればという考えです。
教員の資格がないまま、学生教育に携わるのが自分としては後ろめたい気分なので……。
そうでしたか、既に教員教員として学生指導に携わっているが教員要件が無いということが気になっていたのですね。
そのようにお考えになること自体素晴らしいことだと思います^^
ちなみに、ご存知かと思いますが放送大学大学院の10月入学生の出願締め切りは8月31日ですので履修登録される場合は期日を過ぎないようにお気をつけてください。
またこれもご存知かと思いますが看護協会や医学系出版社、日総研などで教員向けの研修も行っているのでそういったものを受講されるのも自己研鑽になるかと思います。
いろいろと教えていただきありがとうございました。
私は4月から教員として就職しています。
来年度の教員研修は、他の先生が行きます。(もしかしたら再来年も……)
履修科目が教員要件に該当するか、教務主任に確認すれば良いと思いましたが、まだ私自身、人間関係や環境に慣れていないのでこちらに相談させていただいた次第です。
放送大学大学院には、本日出願しします。履修科目が認定されなくても、良い学びになると思うので、とりあえず今、自分にできることを1つ1つやっていきたいと思います。
ありがとうございました。
臨床経験5年以上、現在、通信で養護教諭免許を取得中ですが
卒業すれば看護専門学校で働くことが可能なんですか?また、公立の衛生看護科に就職するのも可能なのでしょうか
たきもと様
コメントありがとうございました。
現在通信で養護教諭免許を取得中とのことですが、こちらは大学にて学習しているのでしょうか?
大学に入学(編入)し、在学中に養護教諭免許取得のために教育学等の教育に関する科目を4単位以上履修して卒業すれば看護専門学校の専任教員の要件を満たすことになります。
専任教員の要件を満たしていれば看護専門学校で勤務することは可能です。
また、衛生看護科は高等学校になるので教員要件としては高校の教員免許(看護)が必要になります。
ただし、都道府県の教育委員会によっては高校の教員免許が無くても個別の申請等によって採用されるケースもあるようです。
現在、大学院看護学研究科の博士前期課程の1年です。看護学校卒業後臨床経験は15年以上で、現在は学業と両立のため非常勤の病院勤務です。修士修了後は看護教員を目指そうと思っています。1年次に看護教育についての科目履修をしていないため、2年次に教育学を履修しようと思いますが、通学中の院では教育関連の科目は看護教育学しかないため、今後どのようにしたらよいでしょうか?
ご回答が遅くなり申し訳ありません。
まず、看護教員を目指すとの事ですが「大学の教員」か「専門学校の教員」のどちらを目指すかによって選択肢が変わってくると思います。
大学での教員であれば、教育の科目の履修については特に規定がなく、研究・論文の実績となりますので今からそこに力を入れつつ、学内の教員や他校の教員との人脈を広げていくことをお勧めします。
専門学校の教員であれば、現在の大学院で教育に関する科目が1科目しかないのであれば、現在の大学院に在籍している間か、大学院終了後に放送大学などの通信制大学院で科目履修生として教育に関する科目を4単位履修することで教員要件を満たすことができます。
はじめまして。
大学を卒業し、大学病院、一般病院で働いてきました。以前より看護教員に興味があり、こちらのサイトを拝見させていただいております。教育に関する科目ですが、現在求人は出ていないのですが、担当部署に確認することは可能でしょうか。
卒業した大学で共通科目で教育について考える、専門科目で健康教育指導法、看護教育学で4単位取得していますが、これらでも可能でしょうか。
来年度より東京都の看護教員の研修に参加させて頂くか、来年度では間に合わないので、再来年度に大学院に進むか悩んでいます。長文になり申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
ご回答が遅くなり申し訳ありません。
「看護教育学」という科目は問題ないと思いますが「健康教育指導法」という科目については教育に関する科目として認められるかは何とも言えません。
科目名だけで判断できない場合、当該科目のシラバスなどで科目の内容も確認したうえで最終的に都道府県にて判断をされることになります。
尚、大変申し訳ありませんが弊社より都道府県の担当部署に確認をすることは出来兼ねますのでその旨ご理解頂ければ幸いです。
(もちろんご相談についてはいくらでも対応させていただきます。)
看護専門学校、助産学専攻科を卒業しています。
放送大学で看護学士と教養学士の取得にて専門学校の教員の資格は得られますか?
よろしくお願い致します。
ご回答が遅くなり申し訳ありません。
ご質問の件ですが、放送大学に入学し(3年次編入でも可)、在学中に教育に関する科目を4単位以上履修して卒業すれば看護専門学校の教員資格は得られます。
尚、看護学士については放送大学で規定の科目を履修し、単位修得後、学位授与機構に申請をすることで看護学士の学位を取得することができます。
こちらの内容を拝見させていただきました。
分かりやすい説明をいただき、ありがとうございました。
1点質問があります、お手すきの際に教えていただけますでしょうか。
現在、看護師国家試験の予備校で働いています。担当科目は国家試験に該当する分野すべてを担当しています。
私の状況としては放送大学にて教育に関する科目4単位を取得していますが、大学卒業はしていません。
ここからが本題なのですが、看護学校の教職員から、
非常勤講師として「解剖生理学」や「疾病論」、「成人看護学」の授業を依頼されました。
私の場合、【大学を卒業していないため教員要件は満たしていませんが、私の講義で看護学生さんが単位を取得できるのか】について疑問に思い、質問させていただきました。
分かりにくい表現があって申し訳ございませんが、ご助言いただければと思います。
ご質問ありがとうございました。
結論から申し上げますと「問題ありません」
本記事に掲載している資格要件は「専任教員」の資格要件です。
非常勤講師の資格要件については、看護六法の「看護師等養成所の運営に関するガイドラインについて」に以下の記載があります。
・その他の教員
(1)各科目を教授する教員は、当該科目について相当の学識経験を有する者であること
(2)各科目を担当する教員は、経歴、専門分野等を十分に考慮して選任すること
(3)看護師養成所における基礎分野の授業は、大学において当該分野を担当している教員によって行われることが望ましいこと
となっております。
上記の通りその他の教員(非常勤講師)は上記規定を根拠に各学校が選定、採用を行っております。
依頼した看護学校としては上記規定をもとにやまださまのご経歴から「解剖生理学等」の授業が担当できると判断し依頼されたのだと思います。
今までのケースから判断すると、やまださまのような方が実施した授業が認められなかったということはないと思います。
仮に都道府県がNGを出すとしても恐らく今までの分はOKだけど今後はもうダメです、といった指導になると思います。
もしどうしても心配のようであれば、依頼をされた看護学校の方にやまださまのご経歴で依頼された授業科目が担当可能か事前に都道府県に確認を取っているのか?
もし確認をしていないのであれば確認しなくて大丈夫でしょうか?といったことを聞いてみても良いかもしれません。
ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。
とても分かりやすかったです!
安心して講義に臨めそうです、ありがとうございました。